このまちの未来について、風間しげきが思うことを綴っていきます。皆様のお声もぜひ、お聞かせください。
BayPRESS 850号 /2018年07月28日発行
西日本豪雨による死者は20日現在で219名。亡くなられた方々のご冥福と、今なお避難所に身を寄せている方々が、一日も早く日常の生活に戻れるよう心から祈りたい。
1974年静岡市。7月7日から8日にかけて降った雨は508ミリを記録した。
高校一年の夏だった。雨続きだった野球部の合宿が終わり、友人たちと七夕見学に出かけてた。突然降りだした雨は傘が差せないほど激しくなった。巴川の堤防をこえた濁流が町に流れ込む光景を目の当たりにした。
七夕集中豪雨。この災害で27名の尊い命が失われた。
1978年、巴川は全国初の「総合治水対策特定河川」に指定され県と市は大規模な河川改修工事に着手した。
大谷放水路。総事業費553億円。七夕豪雨から25年をかけ1999年に完成。葵区古庄付近で巴川から分流し、出水時には毎秒150トンの水(約2秒で25メートルプールを満たす水量)を駿河湾に逃がす。過信は禁物だが成果は大きい。
「先憂後楽」…先見力を持って誰よりも先に危機を察し、後の平安を見て楽しむ。リーダーに必要不可欠な資質だ。
BayPRESS 849号 /2018年07月14日発行
「今度、静岡に寄るんだけど、どこか良いとこ教えて」
「う~ん。思いつかないな~」
先日、久能山東照宮権宮司姫岡恭彦さんとの雑談の中で、県外から参拝に来た学生たちとの会話が話題となった。
学生たちは「三保の松原、日本平の風景、そして、荘厳な東照宮の社殿、どれをとっても素晴らしかった」と興奮気味に話し、「なぜ、静岡出身の友人が思いつかなかったのか不思議」とも。
話を聞いて「どきっ」とした。学生時代、友に故郷の良いところをどれだけ語ってきただろう。
市教育委員会学校教育課では小学5年生から中学3年生を対象とした「しずおか学副読本」の作成に取り組んでいる。
「副読本は徳川家康公を含む郷土史や、山間部の魅力を伝えるオクシズ、前浜のことを知るしずまえ、など6分野に分けて編集を進めています」と話すのは石井康義指導主事。来年度から、学校のパソコン画面で学ぶことができる。
進学や就職で市外に出ていく若者たちは、静岡市の観光親善大使でもある。
「郷土への愛着と誇り」を育てる副読本の完成がとても待ち遠しい。
BayPRESS 848号 /2018年06月23日発行
次郎長翁を知る会(山田倢司現会長)の総会に出席した。
明治元年9月18日、清水港内で起きた咸臨丸事件の犠牲者を葬るため、次郎長が壮士墓を建立してから今年で150年になる。
今年度は9月17日に記念事業が行われるほか、次郎長史跡の探訪事業や次郎長巷談の開催などが予定されている。
総会資料によると、同会の源流は古く昭和3年、梅蔭寺内に次郎長銅像を建立した「精神満腹会」。銅像は太平洋戦争で供出され、昭和27年に「次郎長顕彰会」によって再建された。
その後、次郎長没後百年にあたる平成4年に顕彰会再結成の話が服部令一氏(次郎長生家)、府川松太郎氏(追分羊かん)から上がり、発起人として七代目鈴木与平氏(鈴与)、後藤磯吉氏(はごろもフーズ)、佐々木哲雄氏(清水銀行)、竹内宏氏(長銀総合研究所 初代会長)、林仁山(梅蔭寺)の5氏が名を連ね、次郎長翁を知る会が設立された。
現会員数は108名。「次郎長の事を知らない若い方や、歴史が好きな方は是非」と山田会長。年会費は二千円。
事務局(公財)するが企画観光局清水事務所
BayPRESS 847号 /2018年06月09日発行
「全47都道府県幸福度ランキング2018年版」が東洋経済新報社より刊行された。 政令指定都市別では全20政令市中、浜松が総合1位、静岡市は13位だった。
浜松市は財政健全度など自治体の基本的な力を示す基本指標で3位、健康診査受診率など健康分野で2位、家族や地域社会のつながりを表す生活分野で3位と高順位だった。
一方、静岡市は基本指標が14位、雇用環境など仕事分野が13位、国際会議外国人参加者数など文化分野が14位。生活分野では2位だったが、総合順位で及ばなかった。
同社オンライン編集部は「基本指標は、人口動態や所得、財政健全度など、都市の持続可能性や住民生活の根幹を支える重要な都市の土台。各都市が抱える課題等を的確に捉え、状況に即した総合的かつ体系的な対策を講じることが求められる」としている。
静岡市では大型の建設投資が立て続けに予定されている。市民の幸福度を高めるため、総合的かつ体系的な計画となっているのか。厳しい財政状況下、後世に中途半端な施設と借金だけが残ったと言われぬよう、議会審査のハードルは高くあるべきだと思う。
BayPRESS 846号 /2018年05月26日発行
清水港の礎を築いた次郎長の生家が、国の有形文化財指定を受け静岡市に寄贈された。
老朽化が進み早急な改修が必要となっていた生家。「何とか後世に伝えたい」との思いを子孫で所有者の服部千恵子さんから聞き、6年前有志たちが「次郎長生家を活かすまちづくりの会」を立ち上げた。
「まずは雨漏りだけでも直したかった」と話すのは、同会の牧田充哉理事長。最初は顔見知りの個人や企業商店回りから始めた資金集めも、しばらくすると、「後藤磯吉・悦子福祉及び教育奨励金」の活用や、耐震住宅100%実行員会(東京都港区)、清水北ロータリークラブ、清水銀行、鈴与株式会社、フジ物産株式会社など大きな支援先に繋がっていった。
「人が人を呼んだ。奇跡的ともいえる展開だった」と牧田会長は振り返る。「腹を据えれば何でもできる。そんなことを、教えてくれた…」。
清水の次郎長は人を魅了する並外れた力があったのだろう。その力、今なお衰えず。2020年は次郎長生誕200年の年に当たる。清水の宝が一つ新しく生まれ変わった。生家をいかしたまちづくり、今後の活動に期待したい。
BayPRESS 845号 /2018年04月28日発行
田辺市長は5月12日から葵区と駿河区の11か所で区民との意見交換会を行う。「市の重点施策について分かりやすく説明をし、市民の皆さんと市長が一緒になって考える」のだという。清水区では昨年実施したからとの理由で開催の予定はない。果たしてそれで良いのだろうか。
昨年行われたタウンミーティングは、桜ヶ丘病院を清水庁舎の場所に誘致する件を含めた区の「国際海洋文化都市」構想についての説明で、市の重点施策全般についての意見交換会ではなかった。
重点施策の中には葵区で計画されている市民文化会館の建て替えや歴史文化施設の建設、清水区の海洋文化拠点施設、清水庁舎建設など数十億円から百億円超えともいわれる大規模投資が含まれる。
建設費と維持管理費は市民の税金から支払われることになる。高度成長期ならともかく、財政見通しでは毎年数十億円の財源不足が予想される中で、これらの投資には納税者である全市民の一定の理解と合意が求められるはずだ。
清水区民の合意は説明せずとも得られているというのか。その答えは来春の市長選に持ち越される形となりそうだ。
BayPRESS 841号 /2018年04月07日発行
清水庁舎移転の意見応募状況を年齢で見ると、60才以上が5割近くを占め若い世代の意見が少ないように思えた。計画では新庁舎が清水駅東口公園で業務を開始するのは2023年。耐用年数は65年、少なくとも2088年まで使用し続けることになる。
週末や祝日閉庁の区役所を中心とした今回の計画に、まちづくりや賑わいの創出がどれほど期待できるだろうか。区役所に行かなくても、ほとんどの用事がスマホで済む時代もそう遠くないだろう。
同公園周辺は駅、海に近く富士山の眺望も良い。増加が見込まれる訪日観光客をも対象とした、周遊の起点、観光、商業施設等のエリアとして発展する可能性がある。隣接民有地にはサッカースタジアム建設を望む声も高まっている。
政府の地震調査委員会は、30年以内の南海トラフ巨大地震発生確率を70%程度から70~80%に引き上げた。防災拠点となる区役所や救護病院を津波浸水想定地域に移転させることへの不安や心配は年々高まっていくだろう。
清水の将来を担う、まだ生まれていない子や孫たちの世代にまで及ぶ話し。他人事では済まされないと思う。