プリズム

このまちの未来について、風間しげきが思うことを綴っていきます。皆様のお声もぜひ、お聞かせください。

BayPRESS 970号 /2025年01月25日発行

清水庁舎移転新築か現地改修か 安全確保なら浸水想定区域外も

 清水庁舎の今後の方針について、難波市長は1月9日の記者会見で、機能を他の施設に分散化させコンパクトな庁舎を移転新築する案と、現地改修の二案を提示した。

 移転先はJR清水駅周辺を有力とし費用は未定。現地改修の場合は耐震に約30億円から40億円、老杤化対策に約100億円と試算した。清水庁舎の老化は、静岡庁舎に比べ必要な改修を怠ってきた結果に他ならない。

 市が委託した第三者委員会が被害想定をより厳しい条件で診断した結果、2階から9階で、市が昨年度実施した結果より低い数値となった。「本震で崩壊する危険性は低いが、余震で安全確保が困難になる場所が発生する可能性がある」という。

 さて、安全確保が困難になる場所とは具体的にどこで、どのような状況が想定されるのか。また、老化対策とはどこをどのように更新するための費用か。さらに、移転新築の規模と費用はどの程度か.具体的な説明が求められる。

 移転検討に異論はないが、それほどまでに安全確保を問うのであれば、移転先は津波浸水想定区域外も検討すべきと思う。

BayPRESS 969号 /2025年01月01日発行

激動の「辰年」から「日年」へ 古い慣習は捨て市政再生の年に

 令和6年は皆様にとってどのような一年でしたか。

 元日早々、石川県能登地方でマグニチュード7・6の地震 が発生。次郎長通りで、家内と消防団のはしご乗りを見ている最中の出来事でした。復興半ばで未曽有の集中豪雨にも見舞われた方々に一日も早く日常が訪れることを願うばかりです。

 甲と辰が合わさる今年の干支「辰年」は「変革」や「動」の年。政治も大きく動きました。

 県政では5月、川勝平太知事が辞職、 鈴木康友新知事が誕生。先の国政選挙では、自民党の裏金事件が影響し30年ぶりの少数与党政権発足となりました。

 有権者の声が山を動かした激動の年は改まり、令和7年は巳年。蛇は再生の象徴とされています。

 静岡市は一昨年より難波喬司市長が市政をけん引。良きものは守りながらも古い考えや慣習は捨て去り、より新しい市政を作るためにも、しっかりと現状を見極め声を出し続けることが大切です。

 ベイプレスの編集配布スタッフ一同、心も新たに読者の日々の生活に、気付きや彩りを与える情報を伝えていきます。引き続きご愛読ください。

BayPRESS 967号 /2024年10月26日発行

新たな避難先の整備は不可 清水庁舎の耐震性能を考える ㊦

 9月定例市議会で清水庁舎の津波避難ビル解除に関係して二つの質問をした。

 一つ目は、指定解除後の新たな避難先について。清水庁舎の受け入れ人数は400人。第一候補は庁舎から徒歩3分の産業情報プラザ。収容人員は1300人。これまで400人を想定しており合算で800人。「避難者の受け入れは十分可能」としている。

 南海トラフ巨大地震が発生した際、清水庁舎周辺に津波が到達するのは最短で15分、波高約2メートル。庁舎を通り越し同施設に着いても津波到達時間内に上層階への避難を完了できるのか。新たな避難先の整備が不可欠だ。

 二つ目は、指定解除の根拠、庁舎の耐震性能について。昨年度、簡易な第三次診断と精緻な時刻歴応答解析を行った。診断では「倒壊する危険性あり」、解析では「崩壊する危険性なく安心」、異なる二つの結果がでた

 整理が十分でないと感じた。指定解除の根拠とした診断結果を正しいとするなら、職員の安全確保も急務のはずだ。

 今後、最適な補強方法を検討し、現地改修か移転建て替えかの結論を出すという。経過を注視していきたい。

BayPRESS 966号 /2024年09月28日発行

市内全公共施設中最低のランク 清水庁舎の耐震性能を考える㊥

 昨年市はもう一つの診断、第三次診断法を実施した。結果 は耐震ランクIII。本震で倒壊する危険性があるという。耐震性能区分の中で最低のランクだ。6月発表された、共建築物の地震対策の現状では、市内全1191の公共施設のうち、耐震ランクIIIは僅かに3施設。

 昭和56年6月1日 の建築基準法改正前に建設された東部学校センター(昭和48年)と、高部生涯学習センター(同53年)、清水庁舎は昭和58年の完成だ。

 前清水庁舎の設計は丹下健三氏。国立代々木競技場や広島平和記念資料館本館などを設計、世界的に知られる建築家だ。その庁舎を僅か築25年で解体、現庁舎を建てたのは、現庁舎に東海地震を想定した強い耐震性能を求めたからだ。

 第三次診断法は建築基準法改正前に建設された建築物対象の診断法。市当局は、清水庁舎の構造は建築基準法が改正される前の古い設計だというが、法改正直前に莫大な予算をかけ、改めて古い設計で庁舎の建設に着手するはずがない。

 第三次診断は適切なのか。安全を求める姿勢は理解できるが、納得できる説明を求めていく。(つづく)

BayPRESS 965号 /2024年08月31日発行

倒壊する?しない 二つの結果 清水庁舎の耐震性能を考える㊤

 市は清水庁舎の津波避難ビルの指定解除を発表した。「昨年度実施した耐震診断の結果、耐震性能が劣ることが判明。市民を安全に受け入れる事が困難になった」と言う。

 実施した耐震診断の手法はつ。主に旧耐震に準拠した建物が対象の第三次診断と、準拠基準を問わない時刻歴応答解析。後者はより精密な診断手法で、想定される南海トラフの地震波を当て、建物の変位を計算した。

異なる結果が出た。第三次診断では倒壊する危険性が高く、時刻歴応答解析では倒壊しない。

 そもそも現庁舎は第三次診断の前提となる旧耐震準拠の建物なのか疑問だ。

 前庁舎は耐震性に劣るとして築25年で解体された。現庁舎の設計は新耐震設計が義務付けられる法律の移行期。監修は国の法改正を担った構造設計の権威。建設費は六十数億円。

 市の言い分だと、旧清水市は耐震性が劣る旧耐震の前庁舎を解体し、改めて旧耐震に準拠する設計で現庁舎を建設したことになる。当時の市議会や市民が納得したとは思えない。

 安全を求める姿勢は正しい。だが、判断の前提となる診断とその評価は正確だろうか。(つづく)

BayPRESS 963号 /2024年06月29日発行

補正予算案の規模は約54億円 土地の有効利用やワクチン補助

 静岡市議会6月定例会が開会した。上程された補正予算案は約56億4千万円。

 今回の予算の主なポイントを2つ。一つ目は、静岡市土地等利用推進公社(仮称)出資金。予算額は30億円。

 まだらに存在する 耕作放棄地や空き家などを、高度営農用地や企業立地などに変する取り組みや、空き家を市場に流通させるため、新たな法人を設立する。

 二つ目は、帯状疱疹予防接種費用助成金。予算額は1億4千万円。

 助成対象は本年10月1日以降に接種される50歳以上の市民。

 対象となるワクチンは不活化ワクチンで、生ワクチンは対象外。想定接種者数は本年度末までで7千人。接種上限額は一回当たり1万円で、一人当たり2回接種まで。

 50歳代から発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人が発症するといわれる。

 不活化ワクチンは 2回の接種が必要で接種費用は、一般的に1回当たり2万円から2万6千円程度。

 申請方法は議決後 市のホームページなどで告知。

 県内では、浜松市や沼津市などが一部助成を始めている。

 議案は審査の後、7月10日の議会最終日に表決の予定。

BayPRESS 964号 /2024年06月27日発行

清水は空襲で大きな被害 戦後79年目の夏静岡で企画展

 戦後79年目の夏。戦死者は日本人だけでも民間人80万人を含む310万人。戦争は他人事でも過去の話でもない。

 私の叔母は昭和20年8月7日、豊川海軍工廠で戦死した。清水の親元を離れ、女子挺身隊として徴用されていた。午前10時30分、東洋一といわれた兵器工場にB29の大編隊が来襲した。無数の爆弾焼夷弾の雨を降らせ、工場内は一瞬にして修羅の巷と化した。

 戦死者は2500 名を超えた。享年22歳。許婚がいた。祖母は終戦の8日前だったことを終生悔やんでいた。

 清水を目標とした空襲で亡くなった方も少なくない。7月7日、0時33分から約1時間30分、巴川と東海道線が交差する地点を中心点と定めB29の攻撃で、旧清水市域の約半分が消失、151人の命が奪われた。7月31日の艦砲射撃では、相生町、松原町、美濃輪、下清水が被害を受け、44人が犠牲になった。

 伝馬町の静岡平和 資料センターで企画展「静岡の戦争と空襲12」を開催している。静岡の戦争を時系列で解説、市民から寄贈された遺品のほか、焼夷弾等を展示。毎週金・土・日曜11時から16時、入場無料。