プリズム

このまちの未来について、風間しげきが思うことを綴っていきます。皆様のお声もぜひ、お聞かせください。

BayPRESS 978号 /2025年09月27日発行

新スタジアム建設視野に合意書 試される地元経済界の本気度②

 8月30日付の本コラムの記事中、エディオンピースウィング広島について「建設費約141億円のうち、法人募金が約100億円で70%、助成金が約35億円25% 個人募金が約6億円で5%」と書きましたが、これは「パナソニックスタジアム吹田」のデータで誤り。正しくは「建設費約286億円のうち、エディオンやマツダなど企業や個人からの寄付金が約
77億円で事業費の約27%」に訂止します。

 報道等によると、寄付金約77億円のうち大半をエディオン30億円)とマツダ(20億円)が負担。国庫支出金が約80億円、県と市の負担が約100億円で財源の約6割強。使用料手数料が約27億円。

 本市が想定する新スタジアム建設費は約300億円。仮に現スタジアム改修費124億円をあてたとしても、残りは176億円。県は「費用負担はしない」としており、広島同様の国庫支出金と施設使用料を見積もっても約69億円の不足。

 さらに、興行収益をあげるための施設面での工夫や、賑わいの起爆剤となる商業施設などとの併設、複合化も不可欠。実現には寄付を含め、地元経済界を中心とした知恵と投資が必要と言えそうです。

BayPRESS 977号 /2025年08月30日発行

新スタジアム建設視野に合意書 試される 地元経済界の本気度

静岡市とエネオスは、清水製油所跡地の活用について合意書を締結。経済の活性化を基本に、相互協力で推進していく。

エネオス主体で土地開発を進め、市はスタジアムなど中核施設の用地の取得を検討。現スタジアムの大規模改修か、新スタジアム建設かの結論を、本年度末までにまとめる方針。

昨年3月に公表された市の試算では、現スタジアムの大規模改修が148億円、新スタジアムの建設に236億円とした。難波市長は「新スタジアムを含む投資のほうが、より大きな社会便益をもたらす」
とし「改修費の148億円が市負担の参考値」とも話した。

市は多機能なスタジアムシティを想定しており、事業規模は300億円以上と見込む。「実現には民
間投資が不可矢」と説明している。

市長が「一つの手本」とし挙げたのは、約2万8千人収容のエディオンピースウィング広島だ。

建設費約286億円のうち、エディオンやマツダなど企業や個人からの寄付金が約77億円で、事業費の約3割を占めた。

5月、静岡商工会議所を含む経済3団体が、市長に早期整備を要望した。今、地元経済界の本気度が試されている。

BayPRESS 976号 /2025年07月26日発行

減らす返すより成長戦略 真の政治力の結集に期待

 7月18日、参院選も終盤。各政党は競って「減税」と「給付」を訴える。物価高騰への対応で、短期的に国民の生活を助けることは理解できるが、一時的な対症療法でしかない。

 税金は教育や医療・福祉の充実、経済発展の好循環を作る原資。憲法で国民に納税の義務が課せられる理由だ。

 経済は迷走し格差は拡大、高まる外交、安全保障面への不安。国連が公表した世界幸福度ランキング、日本は55位に後退している。

 「減税」と「給付」は、言い換えれば大切な原資を「減らす」「返す」ことに他ならない。本来ならば、この状況から脱却するための、具体的かつ系統的な成長戦略こそ重要だ。

 特に参議院は衆議院を抑制・補完、国会の審議を慎重にし、大所高所から中長期的視野で国政を論じる役割を担う。しかし実際は、衆議院のカーボンコピーで存在意義に欠ける。

 党派の枠を超え、国の将来を考える政治家はどこに…。少なくとも、参議院はこのような人たちの集団であってほしい。

 機能不全を起こしたこの国の政治。参院選を機に日本を根本的に立て直す、真の政治力の結集に期待したい。

BayPRESS 975号 /2025年06月28日発行

近隣の負荷を軽減する計画に 河道掘削に伴う橋梁整備事業

 浸水対策重点地域緊急事業は令和5年に国と県が公表。巴川水系の麻機遊水地や河道掘削、堤防のかさ上げ、貯留浸透施設など整備を行う

 令和4年9月の台風15号では床上浸水3533戸、床下浸水1288戸の甚大な被害が発生。事業の完成で河川氾濫による床上浸水被害を約2割軽減する。

 県は昨年7月に架け替えに関係する地権者への個別説明を行い、本年5月30日まで浜田地区で7回の説明会を行った。完成時期は未定としながら、早ければ令和7年11月には事業着手したいとの発言もあった。

 「一方的で説明が足りない」、千歳橋架け替えには近隣住民からは反対の声が。また、富士見橋周辺の住民たちは「住み慣れた場所を離れることに対する不安」を口々に。県は撤去の方針を明らかにした。自治会関係者からは、広域にわたる渋滞を懸念する声も聞かれている

 一日も早い事業の完了を願う人たちがいる一方、事業によって大きく影響を受ける人たちもいる。

 事業の重要性は理解できるが、県は近隣住民や自治会の不安や懸念に寄り添い、できる限り負荷を軽減する計画とするよう望みたい。

BayPRESS 974号 /2025年05月31日発行

東静岡アリーナ8月入札公告へ 資材高騰や社会情勢への不安も

 静岡市が東静岡駅前に建設予定のアリーナは8月に入札公告、304年春の開業を目指す。

 市議会が承認した事業費は最大で約300億円。経済波及効果は2年間で5千億円以上。難波市長は「市民への投資案件」と話すが、不安が無いとは言い切れない。

 建築設備の物価上昇や、専門施工事業者の人手不足が続き、公共事業の入札不調が相次いでいる。

 静岡市民文化会館の改修では、応札業者の価格は市が予定した約160億円の2倍以上で大札不調。県事業の新中央図書館では、概算事業費を180億円から298億円に増額したものの手が上がらなかった。

 資材高騰は、原油価格の上昇や、ウクライナ情勢が、また、人件費高騰は人口減少による労働力不足、国内外の社会情勢と複数の要因が複雑、複合的に絡み合っている。

 将来への漠然とした「不安」を口にすれば根拠は?と問われそうだが、予測を「確実」と断言できる根拠も無い。

 入札は成立するのか。また、経済波及効果は期待できるのか。事業提案書にもしっかり目を通していきたい。

BayPRESS 973号 /2025年04月19日発行

民主主義とは何か議会とは何か 議論の過程重視し民意を作る

 静岡市議会議員として新しい任期が始まった。

 民主主義とは何か、議会とは何か。「デモクラシーの論じ方ー論争の政治」(杉田敦著ちくま新書)を読み返した。

 対話形式で本文が始まる。「今の議会は人々の意見を十分に反映しているだろうか。ある一部の人々の利害だけを反映しているように思える」。

 問題はこの一文に凝縮されているように思う。議員の役割は二つ。「一つは、市民の意見を忠実に伝える役割。もう一つは、民意を作り出す役割。どちらも大事だが「常に人々の声に耳を傾ける回路を失ったら、単なるエリート集団になってしまう」。

 そして、議会は「セレモニーであってはいけない」。結論ありきの議論ではなく「議論の過程こそが民主主義」であると心したい。

 今回の選挙結果は政党色が色濃く反映された。その後の、会派結成も政党、支持母体単位での構成となった。無所属議員にとっては、いずれも厳しい結果となった。

 少人数でのスタートとなるが、民主主義の原点を忘れず、謙虚に、そして誠実に市政に向き合っていきたい。

BayPRESS 972号 /2025年03月08日発行

大型建設事業について総括質問 それぞれの効果と課題を明確に

 2月定例市議会では大型建設事業について質問した。

 「海洋・地球総合ミュージアム」は議決から2年間で、大きな変化が生じている。建物を支える基礎の設計ミスや建設資材の高騰で建設費が増高すること、さらに博物館機能の中心だった東海大学が大きく手を引く形と
なっている。

 目玉となる博物館機能は維持できるのか、建設費はどれほど増高するのか、変化による経営の見通しはどうかなど、一度立ち止まって整理する時期に来ていると考える。

 「アリーナ整備事業」は事業費300億円余。33年間の経済波及効果を5236億円と試算する。市長肝いりの事業。

 民間からの寄付金を活用するために基金も創設された。市の負担がどの程度減るかが判断基準の一つだ。難波市長の手腕に期待したい。

 「新サッカースタジアム」は再整備、建て替え案件であり前出の整備事業とは異なる。移転新築を軸に清水区の核的施設として、他の建設・整備計画より優先して検討すべき案件と考える。

 清水区役所の窓口機能、海洋拠点施設などの複合・併設を含め、改めて検討してはどうか。