このまちの未来について、風間しげきが思うことを綴っていきます。皆様のお声もぜひ、お聞かせください。
BayPRESS 972号 /2025年03月08日発行
2月定例市議会では大型建設事業について質問した。
「海洋・地球総合ミュージアム」は議決から2年間で、大きな変化が生じている。建物を支える基礎の設計ミスや建設資材の高騰で建設費が増高すること、さらに博物館機能の中心だった東海大学が大きく手を引く形と
なっている。
目玉となる博物館機能は維持できるのか、建設費はどれほど増高するのか、変化による経営の見通しはどうかなど、一度立ち止まって整理する時期に来ていると考える。
「アリーナ整備事業」は事業費300億円余。33年間の経済波及効果を5236億円と試算する。市長肝いりの事業。
民間からの寄付金を活用するために基金も創設された。市の負担がどの程度減るかが判断基準の一つだ。難波市長の手腕に期待したい。
「新サッカースタジアム」は再整備、建て替え案件であり前出の整備事業とは異なる。移転新築を軸に清水区の核的施設として、他の建設・整備計画より優先して検討すべき案件と考える。
清水区役所の窓口機能、海洋拠点施設などの複合・併設を含め、改めて検討してはどうか。
BayPRESS 971号 /2025年02月15日発行
清水さくら病院の竣工式に参加した。最新の医療機器を備えた病院が建設されたことを喜びたい。
これまで、地震発生時には災害弱者となる人たちがいる病院の移転先は、津波浸水想定区域外を最優先で検討すべきと主張してきた。移転先が決まれば除却まで数十年。その間、必ず大規模な地震に遭遇する。
築60年を超え老材化した同病院の移転そのものに反対したわけではない。問うてきたのは移転先、立地上の安全性だ。
同病院では約6m 構造体をかさ上げ、中枢機能や重要機器を2階以上に配置。 災害時の孤立化への対応として、水や非常用発電機の燃料を3日以上確保するとしている。
建築資材高騰の中で、市議会での議論や市民の不安を受け止め、できる限りの対応をしていただいたと思う。
ただ、立地上のリスクが完全に払拭されたわけではない。日常の医療活動の一層の充実とともに、災害を想定した様々な準備、対策の強化を望んでいきたい。
診療科目は桜ヶ丘病院と同じ、内科・整形外科・泌尿器科・眼科・歯科口腔外科・放射線科・甲状腺科で、3月1日にスタートする。
BayPRESS 970号 /2025年01月25日発行
清水庁舎の今後の方針について、難波市長は1月9日の記者会見で、機能を他の施設に分散化させコンパクトな庁舎を移転新築する案と、現地改修の二案を提示した。
移転先はJR清水駅周辺を有力とし費用は未定。現地改修の場合は耐震に約30億円から40億円、老杤化対策に約100億円と試算した。清水庁舎の老化は、静岡庁舎に比べ必要な改修を怠ってきた結果に他ならない。
市が委託した第三者委員会が被害想定をより厳しい条件で診断した結果、2階から9階で、市が昨年度実施した結果より低い数値となった。「本震で崩壊する危険性は低いが、余震で安全確保が困難になる場所が発生する可能性がある」という。
さて、安全確保が困難になる場所とは具体的にどこで、どのような状況が想定されるのか。また、老化対策とはどこをどのように更新するための費用か。さらに、移転新築の規模と費用はどの程度か.具体的な説明が求められる。
移転検討に異論はないが、それほどまでに安全確保を問うのであれば、移転先は津波浸水想定区域外も検討すべきと思う。
BayPRESS 969号 /2025年01月01日発行
令和6年は皆様にとってどのような一年でしたか。
元日早々、石川県能登地方でマグニチュード7・6の地震 が発生。次郎長通りで、家内と消防団のはしご乗りを見ている最中の出来事でした。復興半ばで未曽有の集中豪雨にも見舞われた方々に一日も早く日常が訪れることを願うばかりです。
甲と辰が合わさる今年の干支「辰年」は「変革」や「動」の年。政治も大きく動きました。
県政では5月、川勝平太知事が辞職、 鈴木康友新知事が誕生。先の国政選挙では、自民党の裏金事件が影響し30年ぶりの少数与党政権発足となりました。
有権者の声が山を動かした激動の年は改まり、令和7年は巳年。蛇は再生の象徴とされています。
静岡市は一昨年より難波喬司市長が市政をけん引。良きものは守りながらも古い考えや慣習は捨て去り、より新しい市政を作るためにも、しっかりと現状を見極め声を出し続けることが大切です。
ベイプレスの編集配布スタッフ一同、心も新たに読者の日々の生活に、気付きや彩りを与える情報を伝えていきます。引き続きご愛読ください。
BayPRESS 967号 /2024年10月26日発行
9月定例市議会で清水庁舎の津波避難ビル解除に関係して二つの質問をした。
一つ目は、指定解除後の新たな避難先について。清水庁舎の受け入れ人数は400人。第一候補は庁舎から徒歩3分の産業情報プラザ。収容人員は1300人。これまで400人を想定しており合算で800人。「避難者の受け入れは十分可能」としている。
南海トラフ巨大地震が発生した際、清水庁舎周辺に津波が到達するのは最短で15分、波高約2メートル。庁舎を通り越し同施設に着いても津波到達時間内に上層階への避難を完了できるのか。新たな避難先の整備が不可欠だ。
二つ目は、指定解除の根拠、庁舎の耐震性能について。昨年度、簡易な第三次診断と精緻な時刻歴応答解析を行った。診断では「倒壊する危険性あり」、解析では「崩壊する危険性なく安心」、異なる二つの結果がでた
整理が十分でないと感じた。指定解除の根拠とした診断結果を正しいとするなら、職員の安全確保も急務のはずだ。
今後、最適な補強方法を検討し、現地改修か移転建て替えかの結論を出すという。経過を注視していきたい。
BayPRESS 966号 /2024年09月28日発行
昨年市はもう一つの診断、第三次診断法を実施した。結果 は耐震ランクIII。本震で倒壊する危険性があるという。耐震性能区分の中で最低のランクだ。6月発表された、共建築物の地震対策の現状では、市内全1191の公共施設のうち、耐震ランクIIIは僅かに3施設。
昭和56年6月1日 の建築基準法改正前に建設された東部学校センター(昭和48年)と、高部生涯学習センター(同53年)、清水庁舎は昭和58年の完成だ。
前清水庁舎の設計は丹下健三氏。国立代々木競技場や広島平和記念資料館本館などを設計、世界的に知られる建築家だ。その庁舎を僅か築25年で解体、現庁舎を建てたのは、現庁舎に東海地震を想定した強い耐震性能を求めたからだ。
第三次診断法は建築基準法改正前に建設された建築物対象の診断法。市当局は、清水庁舎の構造は建築基準法が改正される前の古い設計だというが、法改正直前に莫大な予算をかけ、改めて古い設計で庁舎の建設に着手するはずがない。
第三次診断は適切なのか。安全を求める姿勢は理解できるが、納得できる説明を求めていく。(つづく)
BayPRESS 965号 /2024年08月31日発行
市は清水庁舎の津波避難ビルの指定解除を発表した。「昨年度実施した耐震診断の結果、耐震性能が劣ることが判明。市民を安全に受け入れる事が困難になった」と言う。
実施した耐震診断の手法はつ。主に旧耐震に準拠した建物が対象の第三次診断と、準拠基準を問わない時刻歴応答解析。後者はより精密な診断手法で、想定される南海トラフの地震波を当て、建物の変位を計算した。
異なる結果が出た。第三次診断では倒壊する危険性が高く、時刻歴応答解析では倒壊しない。
そもそも現庁舎は第三次診断の前提となる旧耐震準拠の建物なのか疑問だ。
前庁舎は耐震性に劣るとして築25年で解体された。現庁舎の設計は新耐震設計が義務付けられる法律の移行期。監修は国の法改正を担った構造設計の権威。建設費は六十数億円。
市の言い分だと、旧清水市は耐震性が劣る旧耐震の前庁舎を解体し、改めて旧耐震に準拠する設計で現庁舎を建設したことになる。当時の市議会や市民が納得したとは思えない。
安全を求める姿勢は正しい。だが、判断の前提となる診断とその評価は正確だろうか。(つづく)