このまちの未来について、風間しげきが思うことを綴っていきます。皆様のお声もぜひ、お聞かせください。
BayPRESS 965号 /2024年08月31日発行
市は清水庁舎の津波避難ビルの指定解除を発表した。「昨年度実施した耐震診断の結果、耐震性能が劣ることが判明。市民を安全に受け入れる事が困難になった」と言う。
実施した耐震診断の手法はつ。主に旧耐震に準拠した建物が対象の第三次診断と、準拠基準を問わない時刻歴応答解析。後者はより精密な診断手法で、想定される南海トラフの地震波を当て、建物の変位を計算した。
異なる結果が出た。第三次診断では倒壊する危険性が高く、時刻歴応答解析では倒壊しない。
そもそも現庁舎は第三次診断の前提となる旧耐震準拠の建物なのか疑問だ。
前庁舎は耐震性に劣るとして築25年で解体された。現庁舎の設計は新耐震設計が義務付けられる法律の移行期。監修は国の法改正を担った構造設計の権威。建設費は六十数億円。
市の言い分だと、旧清水市は耐震性が劣る旧耐震の前庁舎を解体し、改めて旧耐震に準拠する設計で現庁舎を建設したことになる。当時の市議会や市民が納得したとは思えない。
安全を求める姿勢は正しい。だが、判断の前提となる診断とその評価は正確だろうか。(つづく)
BayPRESS 963号 /2024年06月29日発行
静岡市議会6月定例会が開会した。上程された補正予算案は約56億4千万円。
今回の予算の主なポイントを2つ。一つ目は、静岡市土地等利用推進公社(仮称)出資金。予算額は30億円。
まだらに存在する 耕作放棄地や空き家などを、高度営農用地や企業立地などに変する取り組みや、空き家を市場に流通させるため、新たな法人を設立する。
二つ目は、帯状疱疹予防接種費用助成金。予算額は1億4千万円。
助成対象は本年10月1日以降に接種される50歳以上の市民。
対象となるワクチンは不活化ワクチンで、生ワクチンは対象外。想定接種者数は本年度末までで7千人。接種上限額は一回当たり1万円で、一人当たり2回接種まで。
50歳代から発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人が発症するといわれる。
不活化ワクチンは 2回の接種が必要で接種費用は、一般的に1回当たり2万円から2万6千円程度。
申請方法は議決後 市のホームページなどで告知。
県内では、浜松市や沼津市などが一部助成を始めている。
議案は審査の後、7月10日の議会最終日に表決の予定。
BayPRESS 964号 /2024年06月27日発行
戦後79年目の夏。戦死者は日本人だけでも民間人80万人を含む310万人。戦争は他人事でも過去の話でもない。
私の叔母は昭和20年8月7日、豊川海軍工廠で戦死した。清水の親元を離れ、女子挺身隊として徴用されていた。午前10時30分、東洋一といわれた兵器工場にB29の大編隊が来襲した。無数の爆弾焼夷弾の雨を降らせ、工場内は一瞬にして修羅の巷と化した。
戦死者は2500 名を超えた。享年22歳。許婚がいた。祖母は終戦の8日前だったことを終生悔やんでいた。
清水を目標とした空襲で亡くなった方も少なくない。7月7日、0時33分から約1時間30分、巴川と東海道線が交差する地点を中心点と定めB29の攻撃で、旧清水市域の約半分が消失、151人の命が奪われた。7月31日の艦砲射撃では、相生町、松原町、美濃輪、下清水が被害を受け、44人が犠牲になった。
伝馬町の静岡平和 資料センターで企画展「静岡の戦争と空襲12」を開催している。静岡の戦争を時系列で解説、市民から寄贈された遺品のほか、焼夷弾等を展示。毎週金・土・日曜11時から16時、入場無料。
BayPRESS 962号 /2024年05月25日発行
市長定例記者会見で清水庁舎の第三段階目の耐震診断結果が公表された。
「第一震では『中破』程度の被害だが、その後の余震で『大破』に至り安全確保が困難になる」その一方で「巨大地震でも第一震では建物は大破に至らないため、現時点では物の落下や 転倒への備えは必要だが安心して利用できる」とした。今年度中に移転を含め方針を決定するという。
明日起きても不思議ではない地震。しかも同庁舎は津波浸水想定区域に位置する。立地上の脆弱性を考えると「第一震で中破、余震で大破」なら、職員や来庁者は確実に逃げ場を失う。「現時点で安全」とはどういう意味か。
腹落ちしない会見だった。相反する「危 険」と「安全」が並立。さらに、新たな疑問も生じた。同庁舎は構造上、揺れる事で地震力を吸収、「大破」には至らない設計で建設されているはずだ。その事は考慮されているのだろうか。
難波市長は「補強には相当の予算」がかかるとの見通しも明らかにした。全てが事実なら、浸水想定区域外への移転計画に着手すべきだ。
耐震診断は補強か 移転かを考える際の重要な要素となる。しっかりと検証していきたい。
BayPRESS 961号 /2024年04月20日発行
それにしても、突然の出来事だった。川勝知事が辞任した。
「花は、散る時期を知っているからこそ美しい。人もそうありたいものである」。記者会見で関ヶ原の戦いの前に自害した、明智光秀の娘で、細川ガラシャの辞世の句を引用した。
美しい散り方とは到底思えない。県民を裏切り、県政を放り出し、逃げた。
職業差別ともとれる失言、厳しい非難に晒されるのは当然。 それでも、来年6月の任期満了までは、県民の負託に応えようとする姿勢は崩して欲しくなかった。
3年前の選挙、知事はリニア工事の影響で生じる「大井川の水を守る」ことを公約に掲げ、約96万票を獲得した。次点 候補に30万票の差をつけての圧勝だった。
辞任の理由にリニア中央新幹線の「開業延期」を挙げたが、県民の多くが知事に託したのはリニア計画の開業延期ではない。大井川の水と、水の源である南アルプスの自然や生態系を守る事だったはずだ。この問題は解決したのか。
託した願いは宙に浮いたままでいる。候補者たちは、この問題をどう評価するだろうか。
静岡県知事選挙は 5月9日(木)告示、26日(日)に投開票される。
BayPRESS 959号 /2024年02月17日発行
東静岡駅のアリーナ建設計画が実現に向けて動き始めた。市が負担する建設費は想定で266億円、収容人員は最大1万人。独立採算が前提で運営費は全額民間事業者が負担し、市に運営権対価を支払う。経済波及効果については30年間で4890億円と試算する。今後の精査が必要があるが、前向きに検討していく価値はある。
一方、前市長が退任直前に仕上げた海洋文化施設の場合、市負担の建設費は約94億円。アリーナに比べ少ないが、市民から入館料を徴収した上、さらに15年間で70億円の運営費を(年間5億円)を市が負担することになっている。経済波及効果も18年間で600億円とアリーナ(18年換算で2934億円)に比べ、高いとは言えない。
しかも、2026年4月の開業予定は、基礎杭の測定ミスや、東海大学との調整が難航し、最大で1年遅れる見込み。建設コストの値上がりによる負担も気掛かりだ。
海洋文化の拠点施設の必要性は認めるが、厳しさを増す市財政からも、全てにおいて市民が納得する、より良い施設とするためにも、難波市長による根本的な見直しを期待したい。
BayPRESS 957号 /2024年01月01日発行
清水区では新たな賑わいに向けての芽が出始めています。 日の出地区では、この11月にエスパルスドリームプラザ「新館パークサイド」がオープン。次郎長通り商店街では大石朗紀会長が「じろちょうマーケット」など、様々なイベントを仕掛けています。
また、清水駅前銀座商店街では商店街だけでは解決できない問題を解決し、新たに活性化を担う組織として、9月に「株式会社アウンしみず」(新谷 琴美代表)が設立されました。
コロナ感染症の発症が静岡市で初めて報告されてからもうすぐ4年。社会活動や経済に大きな影響を与え続けてきた感染症は本年5月に5類相当となり、コロナ禍前の日常に近づいているようです。
ゆく年、くる年、読者の皆様にとってこの一年は、どんな年でしたか。そして来年はどんな年にしたいですか。ベイプレスは9月で創刊43年を迎えました。経営的には厳しい状況が続いていますが、このまちに住む人々の絆がますます強くなること、人が集い笑顔が広がることを願い、紙面を作っていきます。 スタッフ一同、皆様のご多幸を心よりお祈りいたします。