このまちの未来について、風間しげきが思うことを綴っていきます。皆様のお声もぜひ、お聞かせください。
BayPRESS 943号 /2022年11月26日発行
清水庁舎の整備検討委員会は、現地改修をすべきとの決定をしました。そもそも、築40年に満たない庁舎を百億円近い税金を投じて新築する必要があったのでしょうか。
平成30年に策定された「新清水庁舎建設基本構想」。市当局は、清水庁舎は耐震性能が劣り、改修と新築の初期投資に維持管理費等を含めたライフサイクル(生涯)コストでは改修より新築が勝ると試算しました。
しかし、建築構造の専門家や市議会からは、清水庁舎は現庁舎の耐震診断が構造に適していないこと、また、耐用年数の検討も不十分で結果的に改修費が過大に見積もられている等の指摘がされてきました。
整備検討委員会の結果を受け、市の方針が改修に変更され今後、適切な耐震診断や積算が行われた場合、改修費は前回の試算より大幅なコストダウンが可能となりそうです。
なぜ、最初から十分な検討をしなかったのか。田辺市長の「結論ありき」の強引な市政運営が迷走の原因と言えそうです。
来春は静岡市長選挙。教育や福祉、災害対策の充実、そして確実に市の発展に結びつく政策論争を期待したいですね。
BayPRESS 940号 /2022年10月22日発行
今回の豪雨災害で被災し、今なお不自由な生活を強いられている方々に心からお見舞いを申し上げます。
田辺市長は一連のの災害対応に関し「判断は適切だった」と振り返り、職員は「想定を上回る雨量のため対応は不可能だった」と話します。
はたして、市長は事態を正しく理解し、あらゆる事態を想定、与えられた権限を迅速かつ適切に使うことができたのか。また、市の施設上の対策は十分だったのか。
平成30年年7月に発生した西日本豪雨で、甚大な被害に見舞われた岡山県では発災直後に検証組織を設置。関係職員への聞き取りをもとに「豪雨災害を教訓とした災害初期対応等の見直し」をまとめ対策を強化しました。
危機管理は想像力。市長や職員が批判されることを恐れ、自己弁護に終始したとき、市民は再び危険にさらされます。
災害の記憶が消える前に、市長自らの初動や判断を含め全て洗い出し、第三者の目で検証。その上で対策強化をすることで初めて「災害に強い静岡市」の実現が可能となるはずです。
市民の命を預かる意識があるのか。田辺市長の心構えが改めて問われています。
BayPRESS 937号 /2022年08月27日発行
現スタジアムの課題について、市の調査では、サッカー以外の収益源は限られる、アクセスが悪いなどの点が指摘されました。
収益性をあげるため他都市ではスポーツジムや保育園、ホテルやアリーナとの併設が進んでいます。
アクセスの課題は田辺市長のいう「JR清水駅東口のエネオスの所有地」が建設地となればクリアされるます。
エスパルスの新しいホームグラウンドとしてだけでなく、活性化の核、稼ぐ施設としてスタジアムを位置付けること。
霊峰富士と駿河湾を背にしたスタジアムは世界一のロケーション。この地で行われる試合やライブには、世界中から多くの人たちが集まり、宿泊施設はどこも満室、周辺の商店街や飲食店は賑わい、日の出や三保だけでなく、県内の観光地や施設にも多くの人たちが訪れるでしょう。
市はエネオスとの用地交渉を急ぐこと。水族館やアリーナなど計画中の施設をスタジアムに集約すること。
建設費用については商工会議所を中心とした経済界やサポーター、市民有志の具体的な動きを期待したいですね。
BayPRESS 936号 /2022年07月30日発行
長崎市ではジャパネットHDが約700億円をかけ、サッカー専用スタジアム等の建設に着手。将来的にはビジネスモデルとして全国に展開するとのこと。
場所は長崎駅から徒歩10分。スタジアムの年間利用見込客は40万人。約2万席の客席とピッチの距離は約5m。観客席の中に選手ベンチを設ける等の工夫も。
スタジアム運営の課題は収益性。J2Vファーレン長崎のピッチ利用は年間90日程度、残りの約260日をどのように使うかが課題となっていました。
スタジアムにはホテルを併設。また、敷地内にはアリーナや商業施設、オフィスビル等を配置。エリア全体として誘客を図る仕組みになっています。
ホテルにはスタジアムビュー、長崎港ビューなどの240の部屋を設け、プールからも試合が観戦出来る仕掛けで年間18万人の利用を想定。
また、アリーナではプロバスケットボールクラブの試合のほかコンサート、ディナーショーなどの開催がが可能。収容は6千人で年間60万人の利用を見込んでいます。
長崎市に出来て静岡市に出来ないわけがない。次回は課題と波及効果。(続)
BayPRESS 935号 /2022年07月09日発行
行ってきました国立競技場。エスパルスの30周年記念マッチは約5万6千人を動員。ホームゲームでの最多入場者数で、今シーズンのJリーグゲームでも最多の動員数。スタンドを埋め尽くすオレンジ色の波は、時に熱い炎を感じさせるほどでした。
清水に新しいスタジアムを…。先日、サッカースタジアムを活かしたまちづくり検討委員会の第一回目の会合が開かれました。
エスパルスの山室晋也代表取締役社長のほか、Jリーグのスタジアム推進役、市民代表など14名が名を連ねましたが、委員からは「候補地が固まらない検討委員会は夢で終わることが多い」といった厳しい意見も聞かれました。
経済情勢を見極め市民理解を得ながら進めることは大切ですが、計画を現実的な議論にするために避けて通れない課題は二つ。建設場所はどこか、費用はどこが負担するのか。コーディネーターとして、田辺市長の手腕が問われるところです。この点を明確にしない限り、委員会は夢を語り合う場所になそうです。
次回は長崎市を例に、ビジネスとしてのスタジアム経営を考えいきます。(続)
BayPRESS 934号 /2022年06月25日発行
TBS系列で放映された「世界ふしぎ発見」、ご覧になりましたか。テーマは「いざ!明日誰かに伝えたい鎌倉」。 私が伝えたいのは、番組内で取り上げられた「おやつ騒動」。
鶴岡八幡宮の背後にある緑の森が「御谷(おやつ」。高度成長期、ここで一大騒動が勃発します。1961年、聖地とされてきた御谷の森が土地開発の危機にさらされます。「神社を見下ろすような場所に家を建ててはならない」として市民が立ち上がり5日間で集めた署名は約2万人。
運動の中心を担ったのが作家の大佛次郎(おさらぎじろう64年文化勲章受章)。神奈川新聞に「怒る権利」と題した一文(以下要約)を寄稿します。
「いい加減な民主時代に入り威張るやつらは威張りだし、腕力、金力、政治的実力の時代になった。いつも人が知らぬ間に仕事が進められ、既成の事実として力あるものが居座る。それが民主時代だとしたら怪奇である」。
市民はブルドーザーの前に立ち開発を止め、この運動が古都保存法の制定につながりました。60年も前の事ですが、「怪奇な民主時代」は今も続いているような気がします。
BayPRESS 933号 /2022年06月11日発行
清水庁舎の整備方針を決める検討委員会の初会合が開かれ、市から移転建替えや大規模改修など五つの案が示されました。
「耐震性能不足と老朽化で一刻も早い整備が必要」とされた清水庁舎は築39年。 県内はもとより全国的にも、この築年数で移転新築に踏み切った例はないようです。静岡庁舎は築37年で長寿命化の方針が決まっています。
両庁舎は設計会社も建設会社も同じ、同じ耐震設計思想で建てられ、外見も同じ双子の関係。清水庁舎の状況が深刻なら、より高層で防災拠点の本丸となる静岡庁舎はなおさら深刻なはずです。
清水庁舎は東海大地震を想定して83年に完成。構造的には新耐震設計で、地下階には防潮扉を、またメインの電気施設や非常電源は4階に設置されています。築30年を超えればエアコンなど設備の老朽化で、整備更新に一定の費用が必要になるのは当然の事。コンクリートの検査結果も良好。移転建替え案の根拠そのものが脆弱です。
清水庁舎を解体し桜ヶ丘病院を移転する計画はなくなりました。適切な耐震診断を行い、必要な改修をしながら、大切に使い続けていくべきだと思います。