このまちの未来について、風間しげきが思うことを綴っていきます。皆様のお声もぜひ、お聞かせください。
BayPRESS 902号 /2020年12月12日発行
桜ヶ丘病院の移転問題が大きく揺れている。
これまで清水庁舎跡地に病院を移転するとしていた市は、コロナ等による影響から庁舎の移転計画を一時停止。新たに病院の移転候補地としてJR清水駅東口公園とイベント広場のほか、2か所の民地を提案。いずれも津波浸水想定区域だ。
今回もまた見切り発車か。特に東口公園は庁舎の移転用地として議決済み。ここが選択されると、移転計画は白紙か縮小を迫られるはずだ。
ところが庁舎移転に賛成した議員が、今議会で「東口公園は市の一等地だが、市がこの土地を候補地にあげたのは病院に残って欲しいという熱烈な思いの表れ」と、市の判断を高く評価した。
病院移転に課題は無いのか。清水区に不足する診療科目への対応、医師確保の目途と責任。赤字が続く市立清水病院や他の総合病院への影響や、津波への対策。東口公園に決まれば、近くに公園の代替え地が必要になる。
猫の目行政に翻弄されながらも、その都度、追認していては市議会の存在意義が問われる。病院の撤退を望む市民はいない。早急に全体像を明らかにすることこそ必要だ。
BayPRESS 902号 /2020年11月28日発行
社会福祉大会に保護司として参加した。記念講演は家田荘子氏。岩下志麻主演の東映映画「極道の妻たち」の原作者。演題は「自分らしく生きるために~無理なく一歩一歩」
虐待といじめにあった少女時代。結婚後にジョージア州にある『エイズ・アトランタ』というボランティア団体に参加、差別に凍える人たちと接してきた。法務教官の姿に感動した更生施設、榛名女子学園での取材。
家田氏は挨拶の大切さ、そして人に寄り添うだけでも人を救うことができることを、自らの体験を通して話してくれた。 お遍路を続けて感じた挨拶のできる町とできない町の姿。 元気に挨拶を返してくれる町は明るく綺麗で安心。その一方、返してくれない町は汚く暗く危険。「人に対する思いやりの違いだ」と家田氏は話す。
挨拶をすれば、相手の小さな変化に気が付く。話しを聞いてあげたい人の心を開くきっかけになるとも…。犯罪や非行のない町を作り上げるのには、少し時間がかかるかもしれないが、難しいことではない。 元気な挨拶。出来ることから始めよう。そこから町の将来は変わっていく。
BayPRESS 900号 /2020年11月14日発行
かねてから思っていた。税金を無駄に使われるくらいなら、下げてもらったほうがいい。企業活動や個人消費にゆだねた方が、経済はもっともっと効率的に回る。
時として税金は様々な政策手段に形を変え、政治家の集票を目的に、支援団体や業界、地域への利益誘導に使われる。
国が多くの税金を徴収し多く支出する場合を大きな政府、この逆が小さな政府。地方自治体も同じ。行政にしかできないことを行政がやる。「賑わい創出」など民間にも出来る活動は民間に任せる。
民間資本との連携が必要なハコモノ建設などは、市民に対し、事業の目的、将来に渡る負担額など、客観的で丁寧な説明が必要だ。
議会審議も「行政がやることの大義名分は、実態と本当にリンクしているのか」その一点に凝縮されなければならない。
今の政治が、本当に次世代の事を考えているだろうか…。知人から「20代30代の税金は無くすべき」との意見もあった。
政治家に政策を変えてもらうより、税金の使い道を決める政治家を変えるほうがより現実的だ。
若者よ、政治に関心を持とう。ツケを払うのは君たちの世代だ!
BayPRESS 898 899号 /2020年10月24日発行
「清水市からは、東海大地震に耐える市庁舎を要求された。当時最先端の設計を納品した」
37年前、現清水庁舎を設計した㈱佐藤武夫設計事務所(現㈱佐藤総合計画)の構造部長と清瀬市で面談した。
「まだ新耐震施行前の計画通知であったので、法律の形式上は旧耐震となるかもしれないが、構造的耐震性能は新耐震に適合させてある」。
平成24年に市が実施した耐震診断で構造耐震指標が、倒壊または崩壊する危険性があるとされる数値に近かった点について「耐震指標は、旧耐震建物を解析した場合の統計的な数値。清水庁舎の耐震性能を明らかにしたものとはいえない」といなした。
より詳細な耐震診断が必要かとの問いには「庁舎は市民全員の財産で、私有財産ではない。当局だけの判断ではなく、市民全員が納得できる耐震診断が必要だ」と話し、「解析には費用がかかるが、ほとんどの市民が納得できる解析手法であれば、有意義なものとなるだろう」と自信をのぞかせた。
移転計画は一時停止中だ。市が現庁舎を「耐震性能に問題がある」と断定した以上、詳細な耐震診断が必要だ。(完)
BayPRESS 897号 /2020年09月26日発行
耐震診断には、一次、二次、三次診断があり、一般的に、 一次は簡易な診断、二次は校舎など鉄筋コンクリート造向きの診断。三次は現庁舎のような鉄骨鉄筋コンクリート造向きの診断といわれる。
現清水庁舎には二次診断が用いられた。市は「県基準では原則二次診断で良いとしている」としているが、現清水庁舎のような特殊な構造の場合には、適切な評価をするよう求めている。
「二次診断で清水庁舎の耐震性能を表すには限界がある」と前出の建築士。
「例えば、現清水庁舎は地層と133本の基礎杭、地下室が制震装置として働く設計となっているが、二次診断ではこの部分が考慮されない」
耐震診断の報告書にも、二次診断の結果と、詳細な診断の結果は異なる可能性があると記されている。
建築士はさらに、二次診断そのものにも不可解な部分があると話す。「一階部分の地震に耐える力を示す数値が設計図書の数値に比べあまりにも小さすぎる。この数値では中規模の地震でも壊れてしまうことになる」
耐震診断の目的は何だったのか。現清水庁舎の設計責任者からも、より詳細な診断を望む声が聞かれた。続
BayPRESS 896号 /2020年09月12日発行
田辺信宏市長は住民投票条例設置請求に付した反対意見の中で、改めて現庁舎の耐震性能不足を移転新築の大きな理由にあげた。構造設計上に問題はない。だとすれば躯体の経年劣化が影響を与えているのか。
平成29年の市議会本会議で財政局長は「平成24年にコンクリートの圧縮試験と劣化度の進行状況確認のための中性化試験、および内外壁のひび割れ等を確認するための外観目視を行った。結果は良好で問題はない」と明言した。
しかも、その時の調査報告書によると、コンクリート強度は設計当初の強度を上回る数値をはじき出していた。良質のコンクリートは築年数が増すほど強固になるという。
さて、当初から大地震にも耐える事を条件に設計され、躯体の劣化も進んでいない。それでは、なぜ移転新築しなければならないほど、耐震性能が劣るのだろうか。
この疑問について、前出の設計士は「市当局が委託先に指示した診断方法が、そもそも現清水庁舎の構造に適しているとは言えない」と指摘。「レントゲン診断で写った影を癌と診断、精密検査もしないでいきなり死亡宣告を受けたようなものだ」と、ため息をついた。続
BayPRESS 893 894号 /2020年07月25日発行
「市民に賛否を聞く必要はない!」。住民投票条例案は賛成8名(創生静岡4名、共産党3名、緑の党1名)、反対37名(自民党24名、志政会7名、公明党6名)で否決された。
市長も議会も「市民の意見集約は十分に図られている」と言うが、疑問は残ったままだ。多額の市税を投じる大規模事業に反対の声も多い。前提として納税者の過半数の賛成は得られているのか。
住民投票を求める有効署名数は、衆議院議員選挙での中断やコロナ感染拡大防止による自粛という状況下で5万2,300筆に上った。また、これまでに行われたマスコミの世論調査でも、移転反対が賛成を上回っていた。
市は市民に移転の賛否を一度も聞いていない。最初から最後まで強引に計画を進め、議会もそれを追認してきた。
住民投票は間接民主主義を「補完」する制度だ。市長や議員が公正な選挙で選ばれ、市政運営を委ねられていることは否定しない。
しかし、前回の市長選挙の投票率は48.76%、市議選は41.16%と過半数を割った。結果や選挙戦での公約をみても明確に推進との姿勢で信任を得たとは言い難い。市長も議員も市民の意向を確認することから「逃げ続けている」と言われても仕方がない。
さて、「清水庁舎移転予算白紙へ」静岡新聞が8月22日朝刊で抜いた。9月には計画の方針が明らかになる。面子を大切にする静岡市政が計画の撤回をするとは考えにくい。コロナ収束を待って事業再開、数年延期でお茶を濁す意向かも知れない。