プリズム

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BayPRESS 891 892号 /2020年06月27日発行

耐震構造の第一人者就く 現清水庁舎建設時の思い②

 昭和58年4月1日、清水市役所(現清水庁舎)が正式に業務を開始した。総工費約62億円。静岡新聞朝刊に「温かみを全面に 随所に身障者への配慮」の見出しが躍った。
 当時の稲名嘉男清水市長は「24万人の尊い財産」と題し「財政事情の厳しき折、多額の経費をかけ建設したものでありますから、24万市民の尊い財産として末永く大切にしてまいらねばなりません」と新たな決意を寄稿した。

 清水市役所の建設は業界も注目した。世界的に有名な丹下健三氏設計の庁舎(昭和29年完成)を、耐震不足を理由に建て替えるという理由だけではない。昭和56年6月1日、大規模地震を想定した建築基準法の大改正、新耐震基準への移行をまたいで設計施工された大型建設事業だった。

 佐藤武夫設計事務所が基本設計に着手したのは昭和55年9月。市行政からの厳しい要求に加え「新耐震基準を超えなければならないという緊張感が張り詰めていた」と当時を知る設計士は振り返る。

 その想いは人を繋いでいった。県の紹介で設計監修には日本における耐震構造の第一人者が就いた。梅村魁(はじめ)東大名誉教授(当時)。建設省の依頼で新耐震設計法を作った中心的人物だった。続


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