このまちの未来について、風間しげきが思うことを綴っていきます。皆様のお声もぜひ、お聞かせください。
BayPRESS 913 914号 /2021年06月26日発行
静岡市議会に市民団体から請願書が出された。
請願者たちは、新病院の機能、災害医療における同病院の位置づけについては未だに不明確だとして、田辺市政とJCHOに対し説明責任を果たすよう求めている。
昨年12月、田辺信宏市長は、市民に何ら説明がないまま、JCHOの尾身茂理事長と「桜ヶ丘病院を清水駅東口公園に移転する」基本協定を結んだ。
「市立病院でないのだから、勝手にどこにでも移転すればよい」と言うわけにはいかない。移転先は清水庁舎が移転することになっていた、清水区の一等地。しかも、病院立地には相応しくない津波浸水想定区域。
都市計画の観点からも、災害医療の観点からも市民に十分な説明が必要な事は言うまでもない。加えて、救護病院の指定や役割、ヘリポートの設置など、市当局のこれまでの説明と異なる報道があり、市民の間に大きな不安が広がっている。
桜ヶ丘病院は築60年を超え、耐震性能が危ぶまれている、早急に移転が必要なことは理解できる。 問われているのは田辺市長の政治姿勢そのものだ。(続)
BayPRESS 911号 /2021年04月24日発行
映画『記者たち衝撃と畏怖の真実』。
イラク戦争の大義名分となった大量破壊兵器の存在に疑問を持ち、真実を追い続けた記者たちを描いた実録ドラマ。
大手新聞社が大統領の発言を信じて報道する中、地方紙の記者たちが疑念を抱き取材を開始する…。
正確な情報に基づいた上で結論を出したのか。それとも、まず結論ありき。都合の良い情報を元に議論を行ったのか。
リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流水問題。17日、18日の両日、静岡新聞が朝刊一面で報じた。
『平年雨量超す年を「渇水年」』『国交省会議でJR説明』『国交省会議中間報告案 「県性格性欠く」』…。JR東海は取水制限の無い年を渇水年と説明し「渇水季に流量は維持されると結論付けた」(同)。
川勝知事はリニアそのものに反対ではない。「自然への影響を正確に検証しないと取り返しがつかない事になる」と話す。国交省会議は最初から結論ありきだ。
静岡市も同じ。東静岡駅のアリーナ、新清水庁舎、海洋文化施設の建設、そして、桜ヶ丘病院の移転、現清水庁舎の耐震診断。いずれも、正確な情報に基づいた上での方針決定とは到底思えない。
BayPRESS 919号 /2021年04月10日発行
巣立ちの春。知人の娘さんが大学進学で清水を離れることになった。お母さんは娘さんに「家計も厳しい。今後は何かあっても親を頼らないように」と通帳を手渡した。幼稚園に入ったころから、娘さんと一緒に銀行に行った。頂いたお年玉やお祝いは全て貯金した。
誰から頂いたものか、小さな文字で名前を記した。多くの方々に育てられた感謝の気持ち。そしてお金の有難さ。お母さんは「子供たちが一日も早く自立することが、一番の願い」だと話した。
我が家に生まれた三羽の雛。二羽はそのまま大きな雛として今も巣の中にいる。その昔、真ん中の一羽が進学で県外へ巣立った時には心にぽっかり穴があき、なにも手がつかなくなった。「空の巣症候群」…。
放っておいても子供は勝手に育つという人もいる。各家庭によって子や親の性格、育て方も異なる。
ただ、一つ言えるのは、子を思う親の想いはいつまでも変わらないということ。
巣立ちの春。特に親元とを離れる若鳥達には、親への感謝を忘れず、自由に大空を飛び、多くの出会いを通して経験を積み、大きく成長し帰ってきて欲しい。
BayPRESS 909号 /2021年03月20日発行
現清水庁舎の耐震診断に間違いがあるとして、田辺信宏市長に対し耐震診断の委託費など約8千6百万円の返還を求めた住民監査請求の結果が出た。
まず、耐震診断について、データー等が欠落しており正確性を欠くと指摘した部分は、時効を理由に却下。市はデータの欠落は認めたものの、疑惑の核心には至らなかった。
次に、この耐震診断を根拠に、新庁舎の移転計画が進められらたと指摘した部分については棄却。因果関係はないとした市の主張が通った。
監査委員は、耐震診断は移転計画の背景、要素の一つに過ぎず、移転計画の最大の理由として捉えることは妥当でないと判断。我々が間違いを指摘した、耐震診断の結果と移転計画の因果関係を否定した。
新清水庁舎の移転計画は、現清水庁舎の耐震性能に問題があることが最大の理由と聞いていたが、聞き間違いか。
現清水庁舎は構造的には新耐震。しかも築38年での移転解体という計画は全国でも前例がない。
街づくりや賑わいのための移転計画だとしたら、その事業に費やされた税金を市民は当然だと受けいれるだろうか。
BayPRESS 908号 /2021年03月06日発行
10年前の4月20日深夜、静岡県ボランティア協会のスタッフ達と上野駅から東北へ向かう高速バスに乗った。目的地は後方支援基地、遠野市の災害ボランティアセンター.ここを拠点に、22日まで釜石市、大槌町、山田町を回った。
車窓からまちの惨状がはっきりと見えてくる。潰滅と言う言葉以外に表現のしようがない。ため息もをつく気力もなくなっていく。
震災から一か月。海底の土が削り取られて黒く濁った津波は埃となり、かすかなヘドロ臭とともに被災地を覆っていた。
どこの市町でも、生存者の確認に追われていた。死者1万8131人。行方不明者2829人。
想定される南海トラフ地震は東北大震災の被害を大きく上回る規模になる。
いつ起きるのか。現代科学でははっきりと予想できない。
ただ、「今日一日、地震が来なかった」と安堵の裏で、地震エネルギーは少しずつ蓄えられ巨大化している。
自然への畏敬と畏怖、そして命の大切さ。多くの人たちが、命を賭して残した教訓は絶対に忘れてはいけない。
このまちの3・11 は、明日かもしれない。
BayPRESS 907号 /2021年02月20日発行
宮城、福島に震度6強の地震が発生した。大きな揺れに見舞われた地域の方々には、心からお見舞いを申し上げたい。
清水区の震度は3。長く続いた揺れに「ついに来たか」と身構えた。
自分や家族で生き抜くことを「自助」、隣近所や自治会などで助け合うことを「共助」、自治体や国・自衛隊などからの援助を「公助」という。
南海トラフ地震の場合、被災地が広域化するため、公的援助は当分の間、期待できない。まずは、自助意識を高めていく必要がある。家具の転倒防止や避難ルート、備蓄食料などは大丈夫か。
そして、公助の要、市の防災意識も気にかかる。桜ヶ丘病院と災害拠点となる新清水庁舎の移転先ははJR清水駅東口公園。最大2、6mの津波が想定される。
心配する市民の声に市は「県に防潮堤を作ってもらい、津波発生時は自衛隊が駆けつけてくれるから大丈夫」だという。
市民には自助を求めながら他人任せ、最初から公助をあてにしている市行政。上層部では相当風化が進んでいるようだ。
東日本大震災から間もなく10年。「教訓を忘れるな!」との啓示。重く受け止めていただきたい。
BayPRESS 906号 /2021年02月06日発行
『若者よ、政治に関心を持とう。ツケを払うのは君たちの世代だ』11月14日の本コラムで書いた。
「選挙に行ったところで、どうせ政治は変わらない」と若者は言う。無関心の責任は高齢者にもある。
シルバー民主主義と言う言葉がある。少子高齢化が進行し、有権者に占める高齢者の割合が増加、政治への影響力が若者達より大きくなっていくこと。
こうなると、年金や社会保障など高齢者寄りの政策ばかりが重視され、子育て世代や若者にも配慮した政策が後回しになる。建設事業なども同様、今は良くても20 年から30年後、大きな負担になる場合がある。
対策として選挙制度を変えべきとの意見もある。赤ちゃんも有権者の一人と考え親が代わりに投票したり、年齢によって一票の重さを変える制度だ。
人口減少で、財政状況はますます厳しくなる。ツケを残すか、実のなる種を撒くのか。子や孫の世代がどうなるのか。せめて身近な行政に目を光らせるべきだと思う。
『シルバーエイジよ、今の政治のその先の結果に関心を持とう。ツケを払うのは可愛い子や孫たちの世代だ』