このまちの未来について、風間しげきが思うことを綴っていきます。皆様のお声もぜひ、お聞かせください。
BayPRESS 922号 /2021年11月27日発行
担当する少年との面接、初めて少年院に行った。「先生のほうが緊張していますね」。法務教官に笑われた事を思い出す。
院内の自販機で買ったジュースを一本だけ差し入れることができた。久しぶりの「甘さ」だったのだろう。少年は時間をかけ味わっていた。責任の重さに肩が重くなった。
11月27日は更生保護記念日。1952年のこの日、東京・日比谷で更生保護大会が開かれた。犯罪をした人や非行少年を社会の中で支え、再犯を防ぎ自立と更生を援助するのが更生保護。この活動は静岡市で約130年前、実業家の金原明善らが静岡県出獄人保護会社を設立したことが源流とされる。
保護司は保護司法に基づき、法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員。 現在、全国で約4万7千人、清水区では91人の保護司が活動している。
検挙された人に占める再犯者の割合は近年上昇を続けている。安全で安心して暮らせる社会を造る上で更生保護活動はますます重要になる。
その一方、保護司の人材確保が課題となっている。更生保護に理解ある、新しい仲間が増えることを願っている
。
BayPRESS 920号 /2021年10月23日発行
桜ヶ丘病院の移転に伴う住民説明会が、清水テルサ1階で開催される。
日程は①10月27日㈬15時~②19時~③11月1日㈪15時~の3回。各時間帯とも先着230名で、参加希望日の前日までに予約が必要。感染症対策のため参加は一人一回。
病院側は今回の説明会を「移転の経緯ではなく、計画中の新病院の医療体制と災害対策について説明する会」と位置付ける。
病院の移転場所は清水駅東口公園。この場所は、新清水庁舎の移転用地で、条例上、今なお庁舎が建設されることになっている。
昨年、市民から庁舎移転計画に関する住民投票条例の設置請求が出された際、田辺市長は「移転計画は市民への情報提供や、幅広い意見聴取を行うなど長い時間をかけ検討した」との理由で反対した。突然の方針転換。整合性もとれていない。田辺市長は経緯等について、市民に説明する機会を設けるべきだと思う。
住民説明会への参加希望者は希望の日時、住所、氏名、参加人員を明記しFAXでお申し込みを。
fax353・5317 お問い合わせは桜ヶ丘病院総務課
☎353・5311
BayPRESS 918号 /2021年09月11日発行
桜ヶ丘病院の内野直樹院長が、津波対策を含む新病院建設の基本的な考えを田辺信宏市長に書面で伝えた。
「建築費の2割を災害対策に充てる。最大浸水想定高2・7ⅿを上回る5・9ⅿに建物を嵩上げする。陸上交通途絶時に支援物資の搬入を可能とするヘリコプターのホバリングスペース(空中停止)を設置する。災害時には20床を床入院病床以外に設ける」(抜粋)というもの。
田辺市長は当初から建物の嵩上げとヘリ離着陸場の設置を移転計画の前提条件としてきた。
結果的に離着陸場は断られ、ホバリングスペース案が浮上。どれだけ熱心に交渉してきたのか。残念ながら会議録にその形跡は見当たらない。
市が誘導してきた清水庁舎の跡地への移転計画は二転三転。振り回されてきた病院側が、市のメンツを守るための尻ぬぐいをした形だ。
8月26日付静岡新聞朝刊は「10月めどに住民説明会」と報じた。市民が聞きたいのは病院の対応だけではない。市に求められる役割と経過説明だ。病院側への丸投げは許されない。
田辺市長は市民との対話を頑なに拒んできた。責任ある対応を望みたい。
BayPRESS 917号 /2021年08月28日発行
8月15日放送の読売テレビ「そこまで言って委員会」。コロナ対策がうまくいっている国トップ5を元厚生省官僚の豊田真由子氏が分析。
5位はPCR検査や対策アプリを早期に構築した韓国。4位はシンガポール、ワクチンの接種率が高く感染者数を抑え込んでいる。3位は情報戦略など国家の危機管理体制への評価で台湾。2位はニュージーランド、少人数の感染でもロックダウン。1位はノルウェー、感染が拡大した欧州において一貫して感染を抑制。国民の政府に対する信頼度が高いことも評価した。
台湾は蔡 英文、ニュージーランドはジャシンダ・アーダーン。ノルウェーはエルナ・ソルベルグ。いずれも女性がリーダーだが、能力に性差はない。違いがあるとすれば男女や年齢の差別なく、能力の高い人材をトップに選ぶことができる国民性にあると思う。
自らが選んだリーダーを信じ、リーダーは国民を信じるからこそ大胆でスピード感のある政策が断行できる。
日本はどうか。対策は上位にない。リーダーへの支持率は低下の一途。事が起きるたびに不満を言っているだけでは仕方がない。
BayPRESS 915 916号 /2021年07月24日発行
6月定例市議会が閉会した。
桜ヶ丘病院の移転計画について、市に説明責任等を求めた市民団体の請願書は不採択となり、創生静岡より提出された、移転関連予算の減額を求める修正動議も否決された。
田辺市長は、桜ヶ丘病院の移転に関する総括質問にも一切答えなかった。
市長は「一日も早く清水区の不安定な医療提供体制を改善することが大切」と話すが、「危険な場所への移転」を肯定する理由にはならない。また、「清水は海とともに発展してきた」ことも事実だが、商業施設と病院を同じ賑わい施設として位置付ける考えには賛成できない。
建て替え時により安全な場所への移転を考えるのが世の常識なら、静岡市の常識は非常識。しかも、市が津波浸水深想定区域への移転の前提としてきた、ヘリポート設置は病院側に断られ、防潮堤の完成時期も不明、加えて、津波発生から3日間とした道路復旧の期間も根拠が無いに等しい。
議会は議論するところ。議論の中で問題点が浮き彫りになり、対策に知恵を出すことで政策は磨かれていく。問答無用、議会も追認では市民の命が危うい。
BayPRESS 913 914号 /2021年06月26日発行
静岡市議会に市民団体から請願書が出された。
請願者たちは、新病院の機能、災害医療における同病院の位置づけについては未だに不明確だとして、田辺市政とJCHOに対し説明責任を果たすよう求めている。
昨年12月、田辺信宏市長は、市民に何ら説明がないまま、JCHOの尾身茂理事長と「桜ヶ丘病院を清水駅東口公園に移転する」基本協定を結んだ。
「市立病院でないのだから、勝手にどこにでも移転すればよい」と言うわけにはいかない。移転先は清水庁舎が移転することになっていた、清水区の一等地。しかも、病院立地には相応しくない津波浸水想定区域。
都市計画の観点からも、災害医療の観点からも市民に十分な説明が必要な事は言うまでもない。加えて、救護病院の指定や役割、ヘリポートの設置など、市当局のこれまでの説明と異なる報道があり、市民の間に大きな不安が広がっている。
桜ヶ丘病院は築60年を超え、耐震性能が危ぶまれている、早急に移転が必要なことは理解できる。 問われているのは田辺市長の政治姿勢そのものだ。(続)
BayPRESS 911号 /2021年04月24日発行
映画『記者たち衝撃と畏怖の真実』。
イラク戦争の大義名分となった大量破壊兵器の存在に疑問を持ち、真実を追い続けた記者たちを描いた実録ドラマ。
大手新聞社が大統領の発言を信じて報道する中、地方紙の記者たちが疑念を抱き取材を開始する…。
正確な情報に基づいた上で結論を出したのか。それとも、まず結論ありき。都合の良い情報を元に議論を行ったのか。
リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流水問題。17日、18日の両日、静岡新聞が朝刊一面で報じた。
『平年雨量超す年を「渇水年」』『国交省会議でJR説明』『国交省会議中間報告案 「県性格性欠く」』…。JR東海は取水制限の無い年を渇水年と説明し「渇水季に流量は維持されると結論付けた」(同)。
川勝知事はリニアそのものに反対ではない。「自然への影響を正確に検証しないと取り返しがつかない事になる」と話す。国交省会議は最初から結論ありきだ。
静岡市も同じ。東静岡駅のアリーナ、新清水庁舎、海洋文化施設の建設、そして、桜ヶ丘病院の移転、現清水庁舎の耐震診断。いずれも、正確な情報に基づいた上での方針決定とは到底思えない。