このまちの未来について、風間しげきが思うことを綴っていきます。皆様のお声もぜひ、お聞かせください。
BayPRESS 937号 /2022年08月27日発行
現スタジアムの課題について、市の調査では、サッカー以外の収益源は限られる、アクセスが悪いなどの点が指摘されました。
収益性をあげるため他都市ではスポーツジムや保育園、ホテルやアリーナとの併設が進んでいます。
アクセスの課題は田辺市長のいう「JR清水駅東口のエネオスの所有地」が建設地となればクリアされるます。
エスパルスの新しいホームグラウンドとしてだけでなく、活性化の核、稼ぐ施設としてスタジアムを位置付けること。
霊峰富士と駿河湾を背にしたスタジアムは世界一のロケーション。この地で行われる試合やライブには、世界中から多くの人たちが集まり、宿泊施設はどこも満室、周辺の商店街や飲食店は賑わい、日の出や三保だけでなく、県内の観光地や施設にも多くの人たちが訪れるでしょう。
市はエネオスとの用地交渉を急ぐこと。水族館やアリーナなど計画中の施設をスタジアムに集約すること。
建設費用については商工会議所を中心とした経済界やサポーター、市民有志の具体的な動きを期待したいですね。
BayPRESS 936号 /2022年07月30日発行
長崎市ではジャパネットHDが約700億円をかけ、サッカー専用スタジアム等の建設に着手。将来的にはビジネスモデルとして全国に展開するとのこと。
場所は長崎駅から徒歩10分。スタジアムの年間利用見込客は40万人。約2万席の客席とピッチの距離は約5m。観客席の中に選手ベンチを設ける等の工夫も。
スタジアム運営の課題は収益性。J2Vファーレン長崎のピッチ利用は年間90日程度、残りの約260日をどのように使うかが課題となっていました。
スタジアムにはホテルを併設。また、敷地内にはアリーナや商業施設、オフィスビル等を配置。エリア全体として誘客を図る仕組みになっています。
ホテルにはスタジアムビュー、長崎港ビューなどの240の部屋を設け、プールからも試合が観戦出来る仕掛けで年間18万人の利用を想定。
また、アリーナではプロバスケットボールクラブの試合のほかコンサート、ディナーショーなどの開催がが可能。収容は6千人で年間60万人の利用を見込んでいます。
長崎市に出来て静岡市に出来ないわけがない。次回は課題と波及効果。(続)
BayPRESS 935号 /2022年07月09日発行
行ってきました国立競技場。エスパルスの30周年記念マッチは約5万6千人を動員。ホームゲームでの最多入場者数で、今シーズンのJリーグゲームでも最多の動員数。スタンドを埋め尽くすオレンジ色の波は、時に熱い炎を感じさせるほどでした。
清水に新しいスタジアムを…。先日、サッカースタジアムを活かしたまちづくり検討委員会の第一回目の会合が開かれました。
エスパルスの山室晋也代表取締役社長のほか、Jリーグのスタジアム推進役、市民代表など14名が名を連ねましたが、委員からは「候補地が固まらない検討委員会は夢で終わることが多い」といった厳しい意見も聞かれました。
経済情勢を見極め市民理解を得ながら進めることは大切ですが、計画を現実的な議論にするために避けて通れない課題は二つ。建設場所はどこか、費用はどこが負担するのか。コーディネーターとして、田辺市長の手腕が問われるところです。この点を明確にしない限り、委員会は夢を語り合う場所になそうです。
次回は長崎市を例に、ビジネスとしてのスタジアム経営を考えいきます。(続)
BayPRESS 934号 /2022年06月25日発行
TBS系列で放映された「世界ふしぎ発見」、ご覧になりましたか。テーマは「いざ!明日誰かに伝えたい鎌倉」。 私が伝えたいのは、番組内で取り上げられた「おやつ騒動」。
鶴岡八幡宮の背後にある緑の森が「御谷(おやつ」。高度成長期、ここで一大騒動が勃発します。1961年、聖地とされてきた御谷の森が土地開発の危機にさらされます。「神社を見下ろすような場所に家を建ててはならない」として市民が立ち上がり5日間で集めた署名は約2万人。
運動の中心を担ったのが作家の大佛次郎(おさらぎじろう64年文化勲章受章)。神奈川新聞に「怒る権利」と題した一文(以下要約)を寄稿します。
「いい加減な民主時代に入り威張るやつらは威張りだし、腕力、金力、政治的実力の時代になった。いつも人が知らぬ間に仕事が進められ、既成の事実として力あるものが居座る。それが民主時代だとしたら怪奇である」。
市民はブルドーザーの前に立ち開発を止め、この運動が古都保存法の制定につながりました。60年も前の事ですが、「怪奇な民主時代」は今も続いているような気がします。
BayPRESS 933号 /2022年06月11日発行
清水庁舎の整備方針を決める検討委員会の初会合が開かれ、市から移転建替えや大規模改修など五つの案が示されました。
「耐震性能不足と老朽化で一刻も早い整備が必要」とされた清水庁舎は築39年。 県内はもとより全国的にも、この築年数で移転新築に踏み切った例はないようです。静岡庁舎は築37年で長寿命化の方針が決まっています。
両庁舎は設計会社も建設会社も同じ、同じ耐震設計思想で建てられ、外見も同じ双子の関係。清水庁舎の状況が深刻なら、より高層で防災拠点の本丸となる静岡庁舎はなおさら深刻なはずです。
清水庁舎は東海大地震を想定して83年に完成。構造的には新耐震設計で、地下階には防潮扉を、またメインの電気施設や非常電源は4階に設置されています。築30年を超えればエアコンなど設備の老朽化で、整備更新に一定の費用が必要になるのは当然の事。コンクリートの検査結果も良好。移転建替え案の根拠そのものが脆弱です。
清水庁舎を解体し桜ヶ丘病院を移転する計画はなくなりました。適切な耐震診断を行い、必要な改修をしながら、大切に使い続けていくべきだと思います。
BayPRESS 932号 /2022年05月28日発行
牛や豚の飼料の高騰で肉類も値上げ、大好きなカップラーメンも同様、原油価格が上がれば燃料もあがり海産物だって値上がりへ。コロナの感染拡大への不安が薄らぎつつある中、ロシアのウクライナ侵攻による物価の上昇は食卓を直撃しています。
景気の先行きへの不透明感は企業の間でも高まっています。特に、関連企業のすそ野が広い建設業界では、中国経由の木材がストップし、国産材も合板も値上がりするなど危機感を募らせています。
このような状況下で、行政の公共事業も入札の不調が目立っていますが、市民生活に密着する事業の遅滞は許されません。道路橋梁や上下水道の整備、教育や福祉等事業については、資材単価の見直しや工期の十分な確保などが急務となっています。
一方、ここで気になるのが海洋文化施設の建設事業。総事業費240億円、このうち市税負担は170億円。事業規模が大きいことから、建設や運営に係る予算への影響が懸念されます。こちらは資材単価の見直しを…、とはいかないでしょう。一旦凍結し、状況を見極める必要がありそうです。
BayPRESS 930 931号 /2022年04月23日発行
なぜ、静岡市政は頑なに市民の声を聞こうとしないか。また、『自分たちの事を決めてくれる人』が集まる「議会の判断」と、世論調査などによる「自分たちの判断」が異なるのはどうしてでしょう。
『執行機関が強力であることは(中略)行政機関は当事者である住民の声を聞く必要がないばかりか、その声は「民主的プロセス」を阻害するノイズにさえ扱われてしまう』 (多数決を疑う 社会的選択理論とは何か=坂井豊貴著 岩波新書)
「市民の代表たる議会の多数決による賛同」があれば、例えそれが市長の独善的な判断であっても「民主的手続きを経た」という外套をまとうことができます。
問題は民主的プロセス。議会判断と民意が異なる原因の一つが会派拘束。議会で集約された議員の意思は「市民の意向」か、それとも所属する「会派の意向」なのかという点です。議員の意思が真に市民に忠実であれば、集約された「議会の判断」は「市民の判断」と大きく異なるはずがありません。
国政と違い多様な市民市民生活に密着した市政の場、会派によって足並みが揃う事のほうが不自然だと思いますが、いかがでしょうか。