プリズム

このまちの未来について、風間しげきが思うことを綴っていきます。皆様のお声もぜひ、お聞かせください。

BayPRESS 934号 /2022年06月25日発行

「おやつ騒動」と「怒る権利」 今も続く?「怪奇な民主時代」

 TBS系列で放映された「世界ふしぎ発見」、ご覧になりましたか。テーマは「いざ!明日誰かに伝えたい鎌倉」。 私が伝えたいのは、番組内で取り上げられた「おやつ騒動」。

 鶴岡八幡宮の背後にある緑の森が「御谷(おやつ」。高度成長期、ここで一大騒動が勃発します。1961年、聖地とされてきた御谷の森が土地開発の危機にさらされます。「神社を見下ろすような場所に家を建ててはならない」として市民が立ち上がり5日間で集めた署名は約2万人。

 運動の中心を担ったのが作家の大佛次郎(おさらぎじろう64年文化勲章受章)。神奈川新聞に「怒る権利」と題した一文(以下要約)を寄稿します。
 
「いい加減な民主時代に入り威張るやつらは威張りだし、腕力、金力、政治的実力の時代になった。いつも人が知らぬ間に仕事が進められ、既成の事実として力あるものが居座る。それが民主時代だとしたら怪奇である」。

 市民はブルドーザーの前に立ち開発を止め、この運動が古都保存法の制定につながりました。60年も前の事ですが、「怪奇な民主時代」は今も続いているような気がします。


記事の一覧へ