プリズム

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BayPRESS 879号 /2019年11月23日発行

能力主義と日本型タテ社会 トップが最も気を付ける事

 「名君と暗君の違いとは何か」「名君とは人の言うことをよく聞く事であり、暗君とはお気に入りの臣下の言葉しか信じないことです」。

 中国の第2代皇帝太宗の治世、貞観時代は中国史上最も良く国が治まり、貞観の治と言われた。後にまとめられた問答集「貞観政要」は政治の教科書として使われた。

 太宗は自分を叱ってくれる部下をたくさん抱え、率直に耳を傾けて、なるほどと思えばすぐに改めたという。徳川家康など歴史上の人物や大企業のトップ等、優れたリーダーたちが座右の書とした。
 
暗君の組織には忖度と同調という言葉があてはまる。忖度とは本来、他人の心を推し量る意味だが、最近では権力者の気持ちに配慮し行動する意味で使われる。

 日本型タテ社会では忖度できる部下が出世し、耳が痛いことを言う部下は敬遠される。似た言葉に同調という言葉がある。自分の意見を言わず周囲の雰囲気に合わせ行動する事を言う。いずれも個人の責任は問われないが、これでは能力主義が浸透しない。

 忖度や同調に支配された組織はやがて弱体化し、世の中から見捨てられていく。 (K)
参考図書『貞観政要』呉競守屋洋訳 筑摩eブックス


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