プリズム

このまちの未来について、風間しげきが思うことを綴っていきます。皆様のお声もぜひ、お聞かせください。

BayPRESS 855号 /2018年10月27日発行

将来への備えは十分か 子どもたちのトチの実(上)

 宋に狙公という猿好きがいた。家計が厳しくなり餌のトチの実(どんぐり)を一つ減らそうと考えた。翌朝、「これからは朝に三つ、暮れに四つやる」と言ったら、猿が「少ない」と怒ったため「朝に四つ、暮れに三つにする」と言い直したところ、猿はとても喜んだ。

 中国の故事「荘子」の一節だ。「目先の違いに気を取られ、結局は同じことであることに気づかない」ことのたとえ。

 人口減少は国難ともいわれる。税収は減り、高齢者福祉や公共建設物の維持修繕費の増加など財政状況は今後一層厳しくなる。将来に対する有効な対策と備えが必要なのは、国も地方も同じだ。

 安倍首相が消費税率を来年10月1日に現行の8%から10%に引き上げる方針を表明した。 
 静岡市では田辺市長が清水庁舎、海洋拠点施設、歴史文化施設、静岡市民文化会館の建て替え等、大規模な建設投資を行う方針を表明している。

 いずれも「将来に備える」ための政策だという。この国、このまちを担う子どもたちのトチの実はそれで本当に増えるのか。

 朝三暮四はまた、「口先で人をだます」という意味もある。子どもたちのトチの実を貪ることがあってはならない。


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