プリズム

このまちの未来について、風間しげきが思うことを綴っていきます。皆様のお声もぜひ、お聞かせください。

BayPRESS 873号 /2019年08月31日発行

教訓は生かされているか 被災病院はすべて高台へ

 東日本大震災で被災した岩手の県立3病院を視察した。いずれも高台への移転が完了しいていた。

 被災当時の大槌病院は3階建て60床。2階天井付近まで浸水し病院機能停止。屋上へ必死の患者搬送。大量の瓦礫が火災を招き病院を囲んだ。医師、看護師たちは死を覚悟したという。入院患者一名、職員一名が亡くなった。

 2階建て60床の山田病院は1階天井付近まで浸水。1階部分が全壊し病院機能停止。職員1名が亡くなった。2006年、津波浸水想定区域外から区域内に移転し被災。「当時、高台移転の声もあったが利便性を優先したらしい」と当時を振り返る事務職員。築13年で被災した前病院では解体が進んでいた。

 4階建て70床の高田病院は4階天井まで浸水。浸水区域内にあった病院を1998年に全面改修。入院患者12名、職員6名が犠牲となった。「病院や市役所など住民の命を守る施設は、自然災害が起こらない場所に」。災害で夫人を亡くした名誉院長は回想録に教訓としてこう記していた。

 清水区で進む庁舎と病院の移転計画。区民の不安に「津波の規模が違う」と笑う人もいる。はたして教訓は生かされているのだろうか。


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