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BayPRESS 965号 /2024年08月31日発行
市は清水庁舎の津波避難ビルの指定解除を発表した。「昨年度実施した耐震診断の結果、耐震性能が劣ることが判明。市民を安全に受け入れる事が困難になった」と言う。
実施した耐震診断の手法はつ。主に旧耐震に準拠した建物が対象の第三次診断と、準拠基準を問わない時刻歴応答解析。後者はより精密な診断手法で、想定される南海トラフの地震波を当て、建物の変位を計算した。
異なる結果が出た。第三次診断では倒壊する危険性が高く、時刻歴応答解析では倒壊しない。
そもそも現庁舎は第三次診断の前提となる旧耐震準拠の建物なのか疑問だ。
前庁舎は耐震性に劣るとして築25年で解体された。現庁舎の設計は新耐震設計が義務付けられる法律の移行期。監修は国の法改正を担った構造設計の権威。建設費は六十数億円。
市の言い分だと、旧清水市は耐震性が劣る旧耐震の前庁舎を解体し、改めて旧耐震に準拠する設計で現庁舎を建設したことになる。当時の市議会や市民が納得したとは思えない。
安全を求める姿勢は正しい。だが、判断の前提となる診断とその評価は正確だろうか。(つづく)
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