活動報告

静岡市議会議員として、市民の代表として。

2017.09.29

9月定例市議会質問骨子

築34年の清水庁舎を解体し更地に
「杜撰」か「姑息」か具体性欠く大事業
予算執行は議会での議論に耐えた上で!

今回も「清水都心のまちづくりについて」「清水庁舎の移転について」「桜ヶ丘病院の移転について」総括質問を行いました。
 桜ヶ丘病院を津波浸水想定区域にある清水庁舎の場所に移転し、清水庁舎をJR清水駅北側の市有地に移転するという市の方針を決定したのが今年3月。以降、最大の懸案事項である津波対策や賑わいについて、より具体的に説明を求めてきましたが、明確な答は得られませんでした。もし何も決まっていないとしたら「杜撰」極まりなく、仮に、少しでも具体的なことが決まっているのに、公表しないとすれば「姑息」であり、議会軽視とも言えます。
 人口減少に直面する静岡市。少子高齢化が一層進み、行政需要は年々高まる中で、財源である税収アップは望めません。
 「議会において緊張感のある議論を通過した予算だけが執行できる…」原点に立ち返り、今後ともしっかりとチェックしていきます。
 今回は清水庁舎について、大規模改修と移転建替えの費用と問題点について解説したいと思います。市の方針では築34年の清水庁舎を解体、更地にして病院に明け渡す予定ですが、なんとももったいない話です。

大規模改修82億9,500万円 
移転建替え101億5,000万円

大規模改修の施設整備費の合計は約82億9500万円。移転建て替えの施設整備費は101億5000万円となっています。比較検討の一つのポイントとなるライフサイクルコストは、施設整備費他の総費用を耐用年数で割ることによって求められます。分母が大きいほど値は小さくなります。つまり、耐用年数が長ければ長いほど一年間のライフサイクルコストは低くなる計算です。
 大規模改修の場合、一年当たりのラフサイクルコストは約4億2900万円。これに対し移転建て替えの場合は2億6100万円。ここで気になるのが分母である耐用年数です。移転建て替え後の新庁舎は65年間の耐用年数を前提としています。しかし大規模改修後の耐用年数は26年間。移転建て替えに比べ39年間短く、その分、分母が小さくなることでライフサイクルコストは相対的に高くなります。

説得力欠く耐用年数
移転建替え後65年 大規模改修後は26年

当局の答弁によると「大規模改修」のライフサイクルコストは、国土交通省監修の「建築物のライフサイクルコスト」の手引きを参考に算定。その積算の基準では耐用年数が65年間と設定されている。
 今回、比較対象としている「大規模改修」については、改修工事完了時点(平成34年)で昭和58年の建設時から39年が経過することから、65年を耐用年数とすると残りは26年になるとのことでした。
 しかし、大規模改修の施設整備事業費約82億9,500万円の中には、仮設庁舎整備費11億円、システム移転費14億8,000万円。経年劣化と耐震化を含む工事費47億8,800万円、BCP対応改修費に7億円。(BCP対応改修費とは地震や津波などで被害を受けても、重要業務を継続するための改修費です。)
 つまり、フルパッケージです。他の公共施設より早い段階で、これだけ大規模な改修工事を施すにもかかわらず、改修前の残余の耐用年数と改修後の耐用年数とが同じというのは、どうしても理解に苦しみます。
 他の自治体の例を挙げると、香川県庁の竣工は1958年。現在、大規模改修中ですが以後100年間、メンテナンスをしながら使うことを目途にライフサイクルコストを算出。また、青森県庁の場合でも、大規模改修後、さらに40年の使用を前提にライフサイクルコストの算出をしています。

現庁舎の躯体の耐震性 
コア抜き調査は「問題なし」
調査の上、再質問

 現清水庁舎の躯体の耐震性については、耐震診断に伴うコンクリートのコア抜き調査を行ったところ「問題なし」との結果が出ていると聞いています。にもかかわらず、耐用年数が26年というのは、やはり理解に苦しみます。耐震改修と合わせて必要な改修を行うことにより、改修後、何年間の使用が可能なのか、それにともなうライフサイクルコストがどう変化するのか、もう少し細かい調査すすめ再度質問を行う予定です。


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